放映権収入の投資先~スタジアムの可能性~
スポーツ庁が、2025年までにスポーツ産業の市場規模を15兆円に拡大するという
目標を発表しています。
私はスポーツビジネスに関わる前に、半導体メーカーでキャリアを積んできました。
自身の経験からスポーツと半導体の融合について話したいと思います。
10兆円市場の牽引役は放映権料。
特に10代後半から20代前半によるスマホでの
スポーツライブ映像の視聴が大きな役割を果たしているとのこと。
たしかに、気軽にその場で試合を観れることはスマホの価値であり
スマホがあることでスポーツ産業が発展していくのは良いことである。
さらに、通信関連事業やスポーツグッズ販売に関わるメーカーなどの
各産業も発展していけばお互いの市場を盛り上げることにつながるためなお良い。
しかし、これがスポーツ産業にとって完全一致で良いことと断言できるか。
例えば、スマホ台頭の背景で気軽にどこでも試合を観れることになったことは
クラブとして大きなメリット。選手の認知向上や選手の年収増加につながるからだ。
つまり、1人でも多くの人にクラブ認知を図り裾野を広げるという意味では、
スマホでのライブ視聴が果たす役割は大きい。
さらには、気軽にスマホでの試合を視聴出来ることで
スタジアムの立地などが不便といった理由で足を運ぶことが難しかったチーム
にはサポーターが増えるといった恩恵を授かることにもつながるだろう。
しかし一方で、スタジアムに人が集まらなくなりチケット収入が減ってしまうことは
人気クラブの懸念事項の1つとして出てくるだろう。
資金繰りにも大きな影響を与えクラブの存続にするつながりかねない。
観客数が減り、選手のモチベーションが下がり、競争がなくなったリーグは
世界においても競争に耐えられなくなる。このようにデメリットも多く出てくる。
スタジアムでしか味わえない臨場感をどう活かすか。
スタジアムが万人に受けるエンタメ拠点に生まれ変わるよう、
今よりも改革していく必要があるのではないか。
そこで出てくるのが半導体の力。
今やIoT(Internet of Thingsの略:あらゆるモノがインターネットにつながること)
という言葉が世間を賑わしているが、スタジアムへの投資もより一層高めるべきだ。
スタジアムでしか感じることが出来ないファンの熱量や冷めやまぬ興奮に加え、
自席で楽しめるコンテンツを加えていきたい。
試合のデータ分析及び蓄積や、それぞれのお客様の嗜好に合わせたコンテンツを
組み込んでいくのも面白い。さらには家でもそのデータを見れるようにすることで
日常と繋げていければより一層スタジアムの価値は上がる。
費用面だけでなく技術的な精度面など、実行するには勿論ハードルはある。
放映権収入をクラブやリーグはどのように使っていくかを見ていきたい。
投資先を選手やクラブへの強化費だけにとどめず先を見据えてどこに投資していくか。
それをしっかり見極めて投資できるクラブが今の時代を生き残るのではないか。